2008年11月4日に実施されたアメリカ合衆国大統領選挙でバラク・オバマ氏が次期大統領に選任されました。パタゴニアは私たちの「環境に投票を」キャンペーンの一環として、<League of Conservation Voters(環境保護投票者リーグ)>の前代表で私たちの古くからの友人でもあるデブ・キャラハン女史に、環境のために優先すべき課題についての彼女の考えを、「オバマ次期大統領への手紙」として書いてもらいました。また彼女の手紙に続けて、パタゴニアが考える今後の展望を掲載しています。まずはキャラハン女史の手紙をお読みください。
「オバマ次期大統領、おめでとうございます。アメリカは希望と変革に投票しました。
私ははじめてお会いした2004年からあなたの上院選挙のために働きはじめましたが、それ以来、私はバラク・オバマという人の持つアメリカを奮起させる能力を信じてきました。ですから、いまあなたが私たちの次の大統領となられたことを、私は心から祝福します。国家の最高職責を背負うあなたは、国民の希望と夢を運ぶ存在でもあるのです。
2007年2月にあなたが立候補を表明したとき、大統領の仕事はすでに困難なものになっていました。そして経済不況のために危機に瀕する国民が増大したいま、大統領の仕事はさらに困難なものとなっています。大統領就任後の最初の仕事は、この国が直面する危機を回避し、そして軌道修正させることとなるでしょう。戦争、景気後退、雇用問題、健康保険、教育など、この国が直面する問題はリストにするととても長くなります。大統領就任への準備に取り組むいま、あなたはこれらのリストに優先順位を設け、上位2~3のイニシアティブを連邦議会に通過させる戦略を練っていることでしょう。
私が強く要求したいのは、気候変動とエネルギー政策をオバマ政権における早期の最優先事項にするという公約を守っていただくことです。現在すでに危険なレベルで温暖化が進む地球は、もし早急かつ有効な対策が取られなければ、私たちの子供の世代には破滅をもたらします。
アメリカは、気候変動に関する国際協定への参加に反抗したことで、地球温暖化防止の大義と世界のリーダーとしてのアメリカのイメージに傷をつけました。2009年12月、デンマークのコペンハーゲンに189か国が集まって気候変動に関する京都議定書の次期枠組みを議論し、そしてそれらを締結するその日までに、連邦政府はあらたな政策を練らなければなりません。けれどもこの幸先の良い集まりの前に、まずあなたはアメリカの地球温暖化政策を導いていく閣僚および政府要職を指名し、そして地球温暖化に対する連邦法をアメリカ連邦会議で制定しなければなりません。このような法律を制定することにより国内における温室効果ガス削減のための行動を促進するだけでなく、コペンハーゲンでの議論に必要な交渉力をアメリカの政府代表団に与えることになるからです。
気候変動についてのこの重大な国際会議は13か月先に迫っています。迷っている時間はありません。私たちがいま必要としているのは、気候変動とエネルギー政策に対するあなたのリーダーシップなのです。
オバマ次期大統領、短くもどうぞ素晴らしい休暇を楽しんでください。やらなければならないことはたくさんあると思いますが、この国はあなたの力になることを切望しています。
敬意とともに成功をお祈りしています。
デブ・キャラハン
<League of Conservation Voters>前代表
North Star Strategy代表」
以下はパタゴニアからのメッセージです。
今回の選挙はオバマ氏だけの勝利ではなく、私たちの勝利でもあります。環境政策でもっともすばらしい実績を持つ候補者が次期大統領に選ばれました。そのいまこそ、私たちも本気で取り組まなければなりません。
いまこれから、私たちが信じる変革を毎日の行動とあらゆる場面で起こさなければなりません。地元の住宅開発会社が丘陵地帯を破壊して建売住宅を建てようとしているのを止め、身近にある河口を違法な汚染から守りましょう。そして野生動物が生息し、彼らが移動できる権利のために働きかけましょう。また北極圏野生生物保護区を守り、パタゴニア地方の野生の川を保護するためにも、戦いましょう。
さらにこれからの私たちにとってこの世界で何が大切なのかを考え、それを救い、実際に修復することも必要です。小さな一歩は、胸を張って歩けることとは違います。ハイブリッド車を買うのは小さな一歩ではありますが、胸を張って歩くには、無駄に乗らず、さらには脱車社会や脱工業化社会に向けて取り組まなければならないのです。
私たちは希望の投資先をいまやさまざまな方向に広げることができます。道が閉ざされていたブッシュ政権の間、環境活動家たちは市庁舎や郡庁舎、州都などで地道な仕事をつづけてきました。その彼らはいまやっと、連邦機関で働く理想主義者によって多くの友人を得たのですから。
環境への悪影響を減少させながら密集する人口に食料、衣類、そして教育を提供してきたヨーロッパや日本など他国にも目を向けましょう。彼らから学ぶことは多いはずです。4千年にわたって栽培してきた米の種を特許化しようとする化学薬品会社と戦うインドの農民たちと非政府機関にも注目してください。
これまで多くの人間が大規模で汚れた工業化モデルをおこなってきました。それにより多様で繊細な世界のバランスに影響を与えてきた私たちは、いまその代償を払うために深刻な困難に陥っています。でももっと良いやり方が他にあるはずです。その方法を学ぶためにも、私たちは破綻した工業化モデルにではなく、多様で美しい世界に答えを見いだすときなのです。Yes, we can.