「人間は海に依存している」ことをどれほど多くの方が意識しているでしょうか? 地球の表面積の70%以上を覆う海洋は、自然資源やレクリエーションの機会を与えてくれる一方で、地球の天候を調整する役割も担っています。しかも、健全な海洋は海洋生物の多様性の維持だけではなく、陸域に住む生物の生存も可能にしています。海洋のユニークな生物と生息域を守ることは、将来にわたって地球上のあらゆる生命を守ることを意味しています。
漁業資源は貴重な食糧として非常に多くの人々にとって主要なタンパク源であり、また同じように多くの人々が漁業に従事することで暮らしを海に依存しています。その中で日本は、一人あたり年間平均60キロを超える魚介類を消費し、世界各国のあらゆる海域から魚介類を輸入している有数の水産大国です。また近年は、欧米ではBSE(牛海綿状脳症)や鳥インフルエンザの影響、そして健康志向などから肉食離れが進み、中国では所得水準の向上から魚の消費量が急拡大しています。
しかし、国連食糧農業機関(FAO)は世界の魚種の70%以上は完全に搾取されているか、または激減しているかのどちらかである、と報告しています。漁獲方法とその量が原因です。無責任で破壊的な漁業やIUU(違法、無報告、無秩序な漁業)が世界各地で行われ、マグロなどの大型魚類の90%は海から消えてしまいました。さらに、持続不可能な漁業は生息域を破壊し、また、対象魚以外の魚も一緒に混獲した上で、価値のないものとして廃棄しています。減少する漁業資源に対する解決策だともてはやされている水産養殖も、解決となる以上に問題を生み出しているのです。
もし、海の生態系がさらに破壊され、より多くの魚類が壊滅的な減少をたどれば、私たちの食糧供給自体が影響を受けることになります。これからも日々の食卓で海の恵みを享受し、将来にわたって維持するためには、魚が溢れていたかつての豊かな海はもうない、ということを共通認識として、漁法、漁獲量の両面から漁場を管理し、魚が自然に再生産可能な環境を保つ必要があります。
そのとても良い例が、アラスカの天然サーモンです。漁業資源の保全と海の環境保全が同じ一つの目標であることを認識し、利用と保全を両立することをめざしている非営利団体、MSC(Marine Stewardship Council:海洋管理協議会)が認定したアラスカ天然サーモンの商業漁業は、 資源を枯渇させない方法で漁業を行われ、漁場となる海の生態系やその多様性、生産力が維持されている漁業といえます。
行動を起こそう
日本においても、このMSC認証を取得する漁業者や、MSC認証されたシーフードを取り扱うスーパーマーケットや事業者が少しずつ増えています。MSCラベルの選択は、責任ある漁業を支援する方法のひとつといえます。詳しくは下記サイトをご覧ください。
MSC日本語ホームページ
WWFジャパン・海洋サイト