パタゴニア製品が安全で公正、適法かつ人道的な労働環境で確実に製造されるための取り組み
これは企業の社会的責任に対するパタゴニアの取り組みに関する報告書です。パタゴニア製品を製造する工場で働く人たちとパタゴニアの関係、またパタゴニア製品が確実に安全で公正、適法かつ人道的な労働環境で製造されるために実践してきた取り組みや今後の課題を報告しています。
企業の社会的責任とは?
企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility = CSR)とは、企業がその事業活動により顧客、従業員、地域社会、環境に与える影響に対して責任を持つよう促進する包括的な企業活動です。その社会的責任には、国際的な労働や人権に関する基準も含まれています。CSRの解釈はさまざまですが、パタゴニアのCSRが指針としているのはパタゴニアのミッション・ステートメント、コア・バリュー(基本的価値観)、オペレーショナル・バリュー(業務上の価値観)、そして行動規範です。パタゴニアにとってのCSRとは、従業員とその家族、地域社会、さらには社会全体の生活の質を向上する取り組みを意味します。
アパレル産業
いまでは一般的に知られている「スウェットショップ(労働搾取工場)」という言葉は、そもそもは「Kathie Leeブランドの衣料品が労働搾取工場で製造されて、ウォルマートで販売されている」という報告を、ある人権保護団体が1996年に発表したことから広まりました。そしてまもなく労働搾取工場の労働者を利用しているのはKathie Leeブランドに限らないことが明らかになり、アジアから南北アメリカまで、衣料品製造工場での長時間労働や最低賃金以下の報酬、時間外勤務手当の未払い、安全でない職場環境、さらには児童労働の実態までをも耳にするようになりました。このような虐待的な行為のなかでもとくに心を痛む事例のいくつかには、関与している企業として世界最大規模のアパレルやフットウェア・ブランドも名前が挙がっていました。
アパレル産業はパタゴニアが製品を展開する市場でもあります。
実際、すべての工場が劣悪な労働環境であるというわけではありません。管理の行き届いた、安全で健全かつ人道的な労働環境で製品を作っているという非常に優良な工場もあります。けれども否定的な報道は後を絶たず、またその他の事例証拠からも、虐待が蔓延していることは間違いありません。一般的に衣料品製造産業で働く世界中の人びとは若年層で、貧困で、教育を受ける機会や公民権を剥奪されているケースが多く見られます。そうした国々の労働法がずさんである場合もあるため労働者は弱みに付け込まれたり、差別的な待遇を受けたり、また労働組合を結成する権利を否定されたり、嫌がらせを受けたり、さらに脅迫や騙されたりすることもあります。労働環境は安全でも健全でもありません。
衣料品製造労働者に対する虐待は、低価格製品を追求する国際競争や工場側の私利私欲、あるいは不正行為だけが原因ではなく、工場のみならず製品を発注する企業側の不手際が原因となる場合もあります。発注内容の土壇場の変更や理不尽な低価格の要求、納期の短縮要求などは工場の状況をさらに悪化させかねません。