by テッド・ケラソーテ
『Spring 2009』カタログ掲載
11月下旬の嵐がロッキー山脈を白く塗り変えたあと、私はカール・ラポルドが経営する生態系に配慮した模範牧場を訪れた。その広さ13,000エーカー。1882年創業のこの牧場は、人のまばらなモンタナの山沿いの、グレートプレインズがロッキー山脈の隆起に交わる幻想的な地帯にある。実際、ラポルド牧場の西端はボブ・マーシャル原生地域の断崖に接している。
青い瞳、精悍なあごととび色のひげ、それに青緑色のバンダナと黒いカウボーイハットという典型的な西部の男の容貌を持つラポルドが、山に向かってピックアップトラックを走らせながら牧場の様子を語ってくれた。彼の牧場では放牧数を現在の標準より少ない300組の雌牛と子牛、それに加えて補充用に100頭の未経産牛と、数を限ることによって、牧場や近辺の山に生息するグリズリーベア(ハイイログマ)やオオカミとの緊張を緩和するという稀な状態を実現している。
ラポルドのこの牧場経営の出発点は、家蓄牛を餌食にするグリズリーを彼の父親が日常的に殺していた大恐慌時代にさかのぼるという。家族が冬を凌げるかどうかが1頭の牛にかかっているような不況のなかでは、他に手の施しようがなかったのだ。