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母と母なる大地、そしてそのすべての子供たちを愛しましょう
国立エルク保護区内で、餌を求めて標高の低い土地へと移動するエルクの群れ。ワイオミング州ジャクソンホール
写真: Florian Schulz

母と母なる大地、そしてそのすべての子供たちを愛しましょう

by トム・ブロコウ
『Heart of Winter 2009』カタログ掲載

私はミズーリ川近くの大草原で厳しく育てられた、アメリカ西部の子供でした。10歳ではじめて自分のライフル銃を手にし、夏は毎日釣り三昧、秋と冬は寒い夜を毛布の裏地が付いただけの安物の軍用寝袋のなかで過ごしました。

父が最初で最後の新車を購入した1950年、私たち家族はワイオミングのイエローストーン国立公園を抜けてグレート・ソルトレイクへ、そしてさらにネバダ、カリフォルニアへとつづく長旅に出発しました。

その道中、私はフェンス沿いを全速で走るアンテロープや山の草原をゆっくりと横切る雄大なエルクの群れ、また若い雌牛と生まれたての子牛を夏の牧草地に移動させるカウボーイの姿などに胸を躍らせたものでした。

けれども青年期になった私は、それらすべてをあとにして華やかな大都会へと向かいました。カリフォルニアでネットワーク局の仕事に就き、そのあいだ妻のメレディスとパシフィック・クレストへの長期のバックパッキングに出かけたりしました。その後も仕事は全米の都市が中心でしたが西部への思い入れは強く、バックパッキングしながらあちこちをめぐったり、ときおり登山や狩りや釣りをしたりしながら、夏はコロラド、カリフォルニア、サウスダコタ、モンタナで過ごしました。

1989年、西部で本格的に暮らしたいという願望から、メレディスと私はモンタナに牧場を購入しました。この牧場で夏のあいだ見ることができるのはアンテロープやエルク、ミュールジカの群れなどで、ここに縄張りを持つオオカミの群れとコヨーテの夫婦の姿も見逃せません。8月の終わりになると、ピューマがあらたな獲物を探しに牧場にやってきます。毎年最初のクマを目撃するのは孫たちと一緒の楽しい恒例行事ではありますが、一方では愛犬のラブラドールが、給油ホースほどもあるガラガラヘビや、かわいい顔をしながらも凶暴なアナグマ一家に近づかないように気をつけなければなりません。そして頭上に舞うハクトウワシやイヌワシ、夏の住処を整えるカナダヅルのつがい…。私は今年の夏もまた背の高い草薮のなかにダイシャクシギの姿が見られることを、そしてレインボートラウト(ニジマス)やカットスロートトラウト、あるいはブラウントラウトが、私のトビケラやカゲロウ、PMD(ペールモーニングダン)などのフライに反応してくれることを願います。

現在アメリカ西部には19世紀当時に相当するほどの関心が集まっています。世界的な気候変動、エネルギーおよび水問題、人口の急増、移民、営利企業、経済的公正など、いずれの問題も人間の欲望/要求と自然とのバランスに関わっている21世紀のありとあらゆる論点は、アメリカ西部に中心が置かれているからです。

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著者
かつてNBCニュースでキャスターを務め、現役引退とはまだ言いがたいトム・ブロコウは、イヴォン・シュイナードとリック・リッジウェイのクライミング/フィッシング仲間として30年近くもの交友を持ち、現存する保護区を連結して野生のコリドーを設立することを目的としたパタゴニアの「フリーダム・トゥ・ローム」キャンペーンにも協力。このエッセイは、昨夏彼がアメリカ西部14州の州知事と国境に面するカナダ4州の州知事に対して行ったスピーチから抜粋したものである。その後西部州知事たちは〈Western Wildlife Habitat Council〉を発足し、「アメリカ西部における野生生物の生存の鍵となるコリドーと重要な生息地を見定め、それらの土地を保護するために必要な政策のオプションやツールを実行に向けて統合する」ことを目標に掲げている。

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